「これ、どうやって捨てればいいんだろう」
部屋の隅のダンベルを持ち上げようとして、思ったより重くてそっと床に戻す。ベンチは洗濯物の置き場になり、ルームランナーは2階の部屋から一歩も動いていない。始めたころの勢いはどこかへ行き、重さだけが残っている方は少なくないはずです。
どうも、荒木岳です。スポーツ用品店で10年働き、ゴルフ・キャンプ・自転車の売り場を回ってきました。大型店だったので、フィットネス用品の棚の前でダンベルやエアロバイクの相談を受けることもよくありました。あるとき、20kgのダンベルセットをレジまで運んだお客さんに「これ、要らなくなったらどう捨てるんですか」と聞かれて、言葉に詰まったことがあります。住んでいる町によって答えが違うと知ったのは、もっとあとのことです。
この記事では、鉄の器具が自治体ごとにどう扱われているかを実例で並べ、ベンチやルームランナーのような大型品でつまずきやすい点、売るときに見られるところ、重い器具を手放す順番までお話しします。粗大ごみの申し込み画面を開く前に、一度読んでみてください。
目次
鉄のダンベルの処分は、町によって「出せる」「出せない」が分かれる
ダンベルの捨て方を調べると「粗大ごみで出せます」「不燃ごみで大丈夫」と書いた記事がたくさん出てきますが、どれも半分しか当たっていません。鉄のかたまりをどう扱うかは自治体ごとに決めていて、同じ東京都内でも答えが変わるからです。
3つの自治体を並べると、扱いはこれだけ違う
新宿区は、ダンベルを粗大ごみとして受け付けています。粗大ごみの処理手数料一覧では「ダンベル(10kg単位)」と「バーベルの重り(10kg単位)」がそれぞれ400円で、重さで数える方式です。バーベルの棒は10kg以下が400円で、10kgを超えるものはインターネットでは申し込めず、受付センターへの電話が必要になります。
同じ都内でも、府中市は扱いが逆です。市で収集できない品目のページで、鉄アレイを「市の指定処理困難物」に挙げ、「販売店や処理業者に引取りを依頼してください」と案内しています。同じ一覧には金属塊やコンクリート製品、ボウリングのボールなども並び、市の粗大ごみの料金表でもダンベルは「収集不可」の扱いです。
千葉県柏市(柏地域)は、素材でさらに細かく分けています。ごみ分別50音一覧を見ると、金属製のダンベルは「資源品(金属類)」、水を入れて使うプラスチック製は「不燃ごみ」、コンクリートや砂鉄などを固めてコーティングしたものは「収集できないごみ」です。コーティングしたものは北部クリーンセンターへの直接搬入なら受け付ける、という注記も付いています。資源品の金属類として出せるのも長さ3m・重さ30kgまでで、それを超えるものは柏市再生資源事業協業組合に収集を頼む(無料)決まりです。
| 自治体 | 鉄のダンベル・鉄アレイの扱い | 補足 |
|---|---|---|
| 東京都新宿区 | 粗大ごみ(10kg単位で400円) | バーベルの棒は10kgを超えると電話受付のみ |
| 東京都府中市 | 市では収集しない(指定処理困難物) | 販売店や処理業者に引き取りを依頼 |
| 千葉県柏市(柏地域) | 金属製は資源品(金属類) | コンクリート等を固めてコーティングしたものは収集できない |
柏市がわざわざ区分を分けているとおり、見た目が似たダンベルでも、中身が鉄かコンクリートかで行き先が変わるわけです。ビニールで覆われたカラフルなダンベルは外から中身が見えないので、まず説明書や商品名で素材を確かめてください。
調べる前に、刻印と重さを確かめておく
分別辞典を引く前に、手元の器具について次のことを確かめておくと、調べる手間も窓口とのやり取りもずいぶん短くなります。
- 素材は鉄か、ラバー被覆か、コンクリートなどを固めたものか
- 1個あたりの重さ(プレートやグリップの刻印を見る)
- 個数と、シャフトやプレートを含めた合計の重さ
- バーベルのシャフトの長さ
検索するときは「ダンベル」「鉄アレイ」「バーベル」の3つの言葉で引いてください。府中市でも、収集できない品目のページは「鉄アレイ」、料金表は「ダンベル」と呼び方が違っていて、1つの言葉だけだと見落とします。それでも載っていなければ、清掃の担当窓口に電話して、素材と重さを伝えて聞くのがいちばん早いです。
ベンチ・ラック・ルームランナーの処分は「玄関先まで」が壁
大型の器具は、粗大ごみで出せること自体はそれほど珍しくありません。つまずくのは、出せると分かったあとです。
新宿区の粗大ごみの出し方では、一辺がおおむね30cmを超える家具や電気製品などを粗大ごみとしたうえで、「解体しても粗大ごみでお出しください」と注意しています。パワーラックをボルトでばらし、不燃ごみの日に少しずつ出すやり方は通らないわけです。同じページには「大きさや重さにより回収できない場合もあります」とも書かれています。
手数料は、新宿区の一覧でランニングマシンが2,300円、サイクリングマシンが1,300円、ローイングマシンが900円です。トレーニングベンチやパワーラックは一覧に載っていないので、一覧にない粗大ごみは電話で申し込むという区の案内どおり、受付センターに品目と大きさを伝えることになります。
そして一番の難所が運び出しです。新宿区の場合、粗大ごみを出す場所は一戸建てなら玄関先や門前、集合住宅なら1階の出口付近のスペースで、そこまでは自分で運びます。区の運び出し収集もありますが、対象は運び出しが難しい65歳以上のひとり暮らしの方や、障害のある方です。府中市の宅内収集も同じような考え方で、高齢の方だけの世帯などを対象に、収集員2名で運べて解体作業の要らないものに限っています。ばらさないと部屋から出せない器具は、手伝ってもらえる制度があっても対象から外れやすいと見ておいたほうが無難です。
売り場にいたころ、ルームランナーを買ったお客さんから「部屋で組み立てたら、ドアから出せなくなった」と相談されたことがあります。組み立てた状態ではドア枠を通らず、外へ出すには一度ばらすしかないのに、説明書と付属の工具はとうに捨ててしまっていた。2階に置いた器具ほど、階段で人手が要ります。処分の日を決める前に、運ぶ人数と通り道の幅を測っておいてください。
電源の付いた器具は、家電リサイクル法の4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)に入らないので、新宿区では粗大ごみの側で扱われます。メーターに電池を使う機種は、電池を外してから出すよう求める自治体もあるので、申し込みのときに一緒に確かめておくと安心です。
処分の前に。買取で値段がつくトレーニング器具の条件
鉄のダンベルやプレートは、何年置いておいても重さが減るわけではありません。ただし、値段がつくかどうかは重さではなく細かいところで決まるので、処分費を払う前に一度見ておく価値があります。
査定で見られるところ
買取店の査定は、次の使い手が安心して使えるかどうかを見ています。チェックされやすいのは次のところです。
- メーカー名と型番(本体のシールやプレートの刻印)
- 可変式ダンベルのプレート、ピン、ダイヤルまわりの部品の欠け
- ラバー被覆やグリップのひび割れ、ベタつき
- シャフトやプレートのサビ
- ベンチの座面や背もたれの破れ、クッションのへたり
- 取扱説明書、組み立て用の工具やボルトが残っているか
なかでも厳しく見られるのが可変式ダンベルです。ダイヤルやピンで重さを切り替える仕組みは便利ですが、部品がひとつ欠けると、持ち上げた途中でプレートが外れるおそれがあります。足の上に落ちれば大けがですから、部品がそろっていない可変式は、店にとって棚に並べにくい商品なんですよ。
ベンチは座面の状態で印象ががらりと変わります。合皮は汗や皮脂で傷みやすく、破れから中のスポンジがのぞいていると、使う側は手を出しにくい。メーカーと型番が分かれば、次の使い手が交換部品や説明書を探せるので、型番の分かる器具は査定の話も早く進みます。
査定に出す前の手入れ
手入れは、その日のうちに終わる範囲で十分です。汗やほこりを乾いた布で拭き、ベンチの座面は固く絞った布でぬぐってよく乾かす。浮いたサビは軽く落として水気を残さず、型番シールと全体の写真を撮っておけば、見積もりの問い合わせにそのまま使えます。ボルトや工具、説明書、バーベルの留め具は一つの袋にまとめておくと、引き渡しのときに慌てません。
買取の金額は、メーカーの人気や時期、器具の状態で変わります。同じ器具でも店によって評価が分かれるので、1社で決めずに見積もりを比べるのが基本です。
重い器具ほど、フリマより出張・宅配の買取が向く
売ると決めたら、次は運び方です。トレーニング器具は、重さそのものが手放すときのハードルになります。
宅配便には重さとサイズの上限があります。ヤマト運輸の宅急便は縦・横・高さの合計が200cm以内で重さ30kgまで、1辺は170cmまで。日本郵便のゆうパックは合計170cm以下・25kgまでで、25kgを超えて30kgまでは重量ゆうパックになります。20kgのプレートが何枚もあれば1枚ずつ箱を分けるしかなく、170cmより長いバーベルのシャフトは、宅急便の1辺の上限を超えてしまいます。
フリマアプリで個人に売るなら、この梱包と発送を全部自分でこなすことになります。私も大型のキャンプギアを送ったとき、送料と資材で3,000円以上かかって手取りが減り、懲りました(キャンプブームが落ち着いた今、中古アウトドア市場はどうなった?でも触れています)。鉄の器具はキャンプギアよりずっと重いので、同じ失敗をすれば削られる額はもっと大きくなるはずです。宅配買取なら、送料や梱包の箱を店側が持つ仕組みのところもあるので、条件が合えば手取りの計算はずっと楽になります。
| 手放し方 | 運び出し・発送 | 費用と手取り | 向いている器具 |
|---|---|---|---|
| 粗大ごみ・資源回収 | 玄関先や集積所まで自分で運ぶ | 手数料がかかる(自治体で異なる) | 値段がつかない古い器具 |
| フリマアプリ | 梱包・発送を自分で行う | 送料と資材が手取りから引かれる | 軽い小物、送料込みでも売れる人気品 |
| 宅配買取 | 箱詰めして集荷を待つ | 送料と1箱の重さの上限は店ごとに確認 | 箱に分けて送れるダンベルや小物 |
| 出張買取 | 査定員が自宅まで来て引き取る | 運び出しの手間がかからない | ベンチ、ラック、マシン類、量の多いセット |
出張買取は、対応エリアや最低点数の条件を設けている店もあるので、申し込む前に確かめておくと空振りがありません。ダンベルとベンチとラックをまとめて見てもらえば、査定員が一度で運び出してくれるぶん、自分で階段を往復する回数も減ります。
もう一つ気をつけたいのが、「無料で回収します」と軽トラックで回ってくる業者です。府中市は、家庭のごみの回収には市の一般廃棄物処理業の許可が要るとして、町を巡回するような無許可の業者を使わないよう呼びかけています。同じ案内には、業者がお金を出して買い取る「有価物」は処理業の許可の対象外だとも書かれています。値段がつく器具は買取に、つかない器具は自治体か許可を持つ業者に。この線を引いておけば、怪しい業者に当たる心配はぐっと減ります。
まとめ
トレーニング器具の処分でつまずくのは、重さと、自治体ごとのルールの違いです。
- 鉄のダンベルやバーベルは、粗大ごみで出せる町もあれば、市では収集しない町もある
- 同じダンベルでも、鉄製かコンクリートなどを固めたものかで区分が変わることがある
- ベンチやマシン類は、解体しても粗大ごみとして扱う自治体があり、玄関先までは自分で運ぶのが基本
- 売るときは型番、部品の欠け、ラバーやグリップの劣化、サビ、座面の破れ、説明書の有無が見られる
- 宅配便には30kgや1辺170cmといった上限があり、重い器具ほど出張買取や宅配買取が向く
- 巡回の「無料回収」には頼らず、値段がつくなら買取、つかないなら自治体へ
まずは今夜、ダンベルを一つ裏返して刻印を見てください。重さと素材が分かれば、お住まいの自治体の分別辞典で行き先はすぐに引けます。ベンチやマシンが残っているなら、型番シールを写真に撮って、トレーニング器具の扱いに慣れた買取店に一度査定を頼んでみる。値段がつけば運び出しごと任せられますし、つかなければそのまま粗大ごみの申し込みに進めばいいだけです。どちらに転んでも、部屋の隅の重さは一つ片づきます。